U-23を含め、日本代表の生命線とでも言える2列目(「4-2-3-1」の「3」)に故障者が相次いでいる。U-23では清武弘嗣、山崎亮平、山田直輝が負傷して離脱。急遽、原口元気を戻してマレーシア戦に臨むことになった。さらに招集されていた大津も招集もチーム事情で合流できなくなっている。

一方、フル代表の方も昨秋以来、長期離脱中の本田圭佑に加えて、香川真司も負傷して、アイスランド戦、ウズベキスタン戦は参加できなくなってしまった。まあ、代表のプレシーズンマッチのような試合だからよかったのだが……。

2列目は層の厚いポジションではあるが、ザッケローニ監督はどのようなメンバーを並べてくるのか……。

先日発表されたアイスランド戦に向けてのメンバーを見ると、とりあえず、この2列目のバックアップの候補としてベテランの石川直宏と大久保嘉人が入っている(石川や大久保を「ベテラン」と呼ぶ日が来ようとは!)。この2人に、ヨーロッパ組の何人か(岡崎慎司、乾貴士、大津祐樹、宮市亮など……)がポジションを争うことになるのだろう。

2列目と言えば、本田が欠場となってからも、ザッケローニ監督は香川を中央に置かず、左サイドにこだわっていた。新たなメンバーで組む2列目を見れば、ザッケローニ監督が何を目指しているのかが、もう少し見えてくるのかもしれない。

さて、アイスランド戦のメンバーには、石川、大久保以外にも多くの新しい顔ぶれが並んだ。石川、大久保のような「久しぶり」組に加えて、大学出で結果を出した田中順也と金園英学をはじめ、若い磯村亮太、柴崎岳、久保裕也もメンバーに加わってすっかり若返り、新戦力歓迎ムードになっている。

「新戦力の融合」は、このチームの2012年のテーマの一つであろう。

2011年にはアジアカップ優勝、ワールドカップ3次予選突破と着実に結果を出し続けてきた日本代表だったが、ザッケローニ監督就任直後の2011年1月にアジアカップがあったことや、東日本大震災の影響で「新戦力発掘の場」と想定されていたコパアメリカ出場を辞退したことによって、新戦力のテストがあまり進まなかった。「チーム内競争の激化」という意味でも、「バックアップメンバーの充実」という意味でも、新戦力の発掘が待たれるところだ。

本田や香川、長友佑都や内田篤人が離脱しても、日本代表の戦力は大幅にダウンしなかった。だが、それは故障者が人材豊富なMFだったからであり、サイドバックには駒野友一という左右両サイドをこなせる最高のバックアッパーがいたからでしかない。故障したのが、たとえばセンターバックの今野泰幸と吉田麻也だったら、どうなるのだろうか?

そういうこのチームの課題を踏まえてアイスランド戦に向けて選出されたメンバーを見ると、一見、ザッケローニ監督が新戦力発掘に向けて非常に積極的な姿勢を見せたかのように見える。

だが、「新戦力」と「主力組」との実力差は大きく、逆にメンバーが固定化されてしまっている実情が浮き彫りになってくる。

もちろん、Jリーグで結果を残した田中や金園、最年少の久保はゴールを奪う技術に優れた逸材だ。大型MFの磯村や独特の感覚を持つ柴崎も将来日本を背負って立つ選手になる可能性を秘めている。だが、ザッケローニ監督も、彼らを「即戦力」として期待しているわけではなかろう。

親善試合であるアイスランド戦には海外組が招集できない。海外組は今や日本代表の中核をなしており、海外組が不在では人数的にもチームが構成できないのが実情だ。つまり、今回招集された新メンバーは、あくまでも海外組が抜けた「穴埋め」とも言える。極端な言い方をすれば、「紅白戦要員」である。

もちろん、こういうやり方で若い選手に経験を積ませるのも珍しいことではない。南アフリカ・ワールドカップの時にも、岡田武史監督は香川や山村和也などを帯同メンバーさせた。今回も、それと同様と考えるべきだろう(しかし、それでもバックアッパーの準備が緊急課題とも言えるセンターバックについては従来同様のメンバーしか含まれていない。このポジションの人材不足は甚だしい)。

さて、ウズベキスタン戦を終えると、その後6月の最終予選まで準備試合は組まれていない。もし、最終予選で苦戦が続くようであれば、新戦力テストの機会は当分なくなってしまうのである。2月の2試合の目的は(1)主力組のコンディションの見極め、(2)これまで積み上げてきたことの再確認、(3)新システム(つまり、例の3-4-3)のテスト、(4)新戦力のテストといったところだろう。ヨーロッパ組も参加するウズベキスタン戦では、当然(1)〜(3)が試される。

今回は準備期間が少ない日程なので3-4-3をテストすることはないだろうが、ザッケローニ監督はかなりこのシステムに執着しているので可能性はある。これまでは、主力組不在のときに3-4-3のテストをすることが多かったが、これはあまり意味のないことだ。また、3-4-3でスタートして、うまくいかずに4-2-3-1に戻した試合もあったが、将来実戦でこのシステムを使う時のことを考えても、4-2-3-1でスタートして、途中で(交代なしで)3-4-3に移行するテストをした方がいいだろう。

ウズベキスタンの出場停止問題でも分かるように、ウズベキスタン戦は完全な消化試合だが、こちらはやはり主力組中心で組まざるを得ない(消化試合ではあっても公式戦なので交代も3人までしか使えない)。しがって、アイスランド戦では、せっかく呼んだ新戦力にぜひ出場機会を与えてやってもらいたいものである。

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後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授