優勝候補は大野将平

優勝候補の筆頭は昨年のリオ世界選手権金メダリスト大野将平。昨年は豪快な右内股と右大外刈で「一本」を量産、他を全く寄せ付けない圧勝であった。突飛な技や特殊な組み立て、奇襲技などなしに、組む力の強さと投げ一発の威力という柔道のもっとも本質的なところの強さで他を圧倒している。その牙城を崩すには「強くなる」こと以外で対策の施しようがないのでないか。そう思わせるほど今の大野は強い。右膝を痛めた2月以降国際大会は出場を控えているが、4月の選抜体重別は圧勝して変わらぬ力を見せていることを考えれば、怪我というアクシデントも最終的には相手の研究を封じるという文脈で良い目に転がる可能性が高い。今大会は圧倒的な大野に対して他選手がどう立ち向かうのか、これが73垉蕕魎咾第一トピックと規定して良いのではないだろうか。また、対抗馬が2011年パリ世界選手権王者でロンドン五輪銀メダリストの中矢力であることを考えると、73kg級の主役は日本勢である。

対抗勢力の中で注目すべきはこれぞモンゴル柔道というパワーファイター、サインジャルガル・ニュムオチイ(モンゴル)。昨年は片襟の右大外刈からの左小外掛という異常な組み立てで中矢を投げつけ、失神退場に追い込んだ猛者である。大外刈、背負投と技種は多彩だが、なんといってもその体幹を生かすべく正面から腹をつけて相手を持ち上げての「やぐら投げ」がその代名詞。高藤直寿や高市賢悟も連なる移腰ブーム、2013年以降の世界的な「やぐら」の流行はサインジャルガルが発信源といえる。今春は突如81kg級に参戦、2大会を戦ったがいずれも入賞出来ず早期敗退。世界選手権直前の地元大会グランプリ・ウランバートルは出場自体をとりやめて本人もどちらの階級で戦うかを迷っているとの情報だが、少なくとも今大会までは73kg級に居残る可能性が高い。

期待大のモンゴルの英雄ハッシュバータル・ツァガンバータルに注目

他勢力では同じくモンゴルの英雄ハッシュバータル・ツァガンバータルが有力。もと66kg級世界王者で日本勢とも激しい戦いを繰り広げてきたが、昨年階級を上げて年間10の国際大会に出場。さすがに疲労困憊で後半のパフォーマンスはボロボロだったが、今年は出場試合を絞って調整中。まだツアーの優勝はないがツァガンバータルらしい内容を見せ始めるようになっており、今大会は躍進が期待できる。

ほか、激しい動きと際の技といういわゆる「ガチャガチャ柔道」の中で勝ちを拾い続けるロク・ドラクシック(スロベニア)、北京−ロンドン期から上位に居座り続けるディルク・ファンティシェル(ベルギー)、ウーゴ・ルグラン(フランス)、デックス・エルモント(オランダ)などの欧州勢がいるがこれはいずれも5分トータルでなんとか相手を上回ろうというタイプで、柔道の内容としてはインパクト不足。大野、中矢、サインジャルガル、ツァガンバータルらを上回るものが現れるとしたらロンドン五輪王者マンスール・イサエフ(ロシア)の復帰がある場合であろう。

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古田 英毅
柔道サイト 「eJudo」編集長。国内の主要大会ほぼ全てを直接取材、レポートを執筆する。
コラム「eJudo's EYE」の著者でもある。自身も柔道六段でインターハイ出場歴あり。J SPORTSワールドツアー中継ではデータマンを担当。

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