ミカエル・キングスベリー

W杯最多勝、W杯総合優勝最多を更新し続けるミック。残るターゲットは五輪金メダル。しかしライバルの追い上げも厳しい

男子総合優勝のミックことミカエル・キングスベリー(カナダ)は、相変わらず強く、絶対王者らしい文句なしの成績だった。これでW杯総合4連覇、W杯通算33勝。”史上初”を次々と達成し続けている。
エドガー・グロスピロン(フランス)、セルゲイ・シュプレツォフ(ロシア)、ヤンネ・ラハテラ(フィンランド)ら、歴代最強王者に挙げられる選手は過去に複数いるが、もはやミックはそんな彼らの次元すら超えたのかもしれない。

しかしながら勝負の内容は、絶対王者の安泰を示すものではなかった。
総合2位マット・グラハム(オーストラリア)、同3位ベンジャミン・カヴェット(フランス)、同5位ジミ・サロネン(フィンランド)など、新勢力が王者に迫る戦いも目立った。

マット・グラハム

名コーチ、デソビッチに育てられるマット。同コーチによる3人目の五輪金メダリストになる可能性も出てきた

マットは初優勝も含め、安定感がついてきた。ベンジャミンは表彰台3度などその能力の高さを結果に示した。ジミはミックとのデュアルで、お互いフルアタック勝負の接戦を制した。ミックとて楽勝ではなく、必死に勝利を掴んでいった雰囲気が伝わったシーズンだった。

女子総合優勝は、クロエ・デュフォー-ラポイント(カナダ)。妹のジャスティン・デュフォー-ラポイント(カナダ)との接戦を制した。
勝利数は、クロエ1勝、ジャスティン3勝。8戦中6回表彰台のクロエに対し、北米開催以外のW杯すべてで表彰台を逃したジャスティン。安定感の差が、姉のビッグタイトル獲得につながった。 対する妹は、五輪も世界選手権も勝ったにも関わらず、最後に残した大きなタイトルを逃した。なんともシビアな姉妹対決だった。

姉妹対決に勝ったクロエ。長女マキシム、三女ジャスティンとの三姉妹による世界のトップ対決は今後も続くだろう

「17歳でW杯2勝」
この快挙を遂げたペリーヌ・ラフォン(フランス)の躍進も衝撃的だった。しかも総合順位も、3位と表彰台。1位から7位に5人が入るカナダ勢に割って入り、次期女王候補としてはっきりと名乗りを上げた。

日本チームにとっては、厳しい現実と明るい未来が交錯した。

シーズン前、遠藤尚(忍建設)、伊藤みき(北野建設)の怪我からの復帰があり、層の厚さを考えてもかつてない強さを手に入れたと思われた。しかし、西伸幸(マンマーノフーズ)、星野純子(チームリステル)、さらに遠藤尚も怪我で離脱。チームとしては残念だったと言わざるを得ない。

場した最終戦以外全戦決勝進出。新たな日本のエースとなった18歳原大智は、世界の表彰台が見えている

しかしそんな中でも、18歳原大智(チームジョックス)の最高位4位、総合8位の活躍は光った。スピード、ターンの安定感は、世界レベルであることを証明した。W杯、次回五輪での表彰台も、十分に期待できると言えるだろう。W杯開幕戦で表彰台に上がった堀島行真(岐阜第一高)と合わせ、10代選手の活躍は、今後世界トップで活躍していく財産となるに違いない。来季のW杯、世界選手権が楽しみとなった。

トップに立ったのは、男子はミック、女子はデュフォー-ラポイント姉妹という戦前の予想通りとはなったが、レース内容を検証すればシビアであり、来季以降の変化も感じさせる2016シーズンだったと言えよう。

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Bravoski(ブラボースキー)
今年で創刊32周年を迎えた双葉社発刊のスキー専門誌。‘90年代中盤からフリースタイルスキーに着目し、‘98年長野五輪・モーグル種目で里谷多英、上村愛子らが活躍してモーグルが一大ブームとなる。現在ではフリースタイルスキー(パウダー、パーク、モーグル)の専門誌として年間3冊発刊している。ウェブマガジンBravoski.comは毎日更新中。

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