『Foot!』Five Stories

ボルトン在籍時のニコラ・アネルカとの2ショット

『Foot!』で月曜から金曜までそれぞれMCを担当している5人のアナウンサーに、これまでの半生を振り返ってもらいつつ、どういう想いで今の仕事と向き合っているかを語っていただいています。
五者五様の“オリジナルな生き方”を感じて戴ければ幸いです。



前編はこちら

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Q:98年の4月に長崎文化放送に入社される訳ですね。最初はどういうお仕事をされていたんですか?

A:東京で言うと社会部の記者で、地方で言うと県警担当で“サツ担”というヤツです。まず新人の新聞記者がやる仕事で、県警記者クラブに朝から行って、1課、2課とあいさつしながら回って、「今日は何かありますか?」と聞きながら、広報担当の副署長が全部の署に「昨日の夜から今朝まで何かありましたか?」と電話するので、それをチェックさせてもらったり、事件や事故があったら夜中でもポケベルが鳴るので、警察署に電話してからその現場に行って、原稿を書いて、という感じで、アナウンサーというよりは記者ですね。大きな事件が起これば、早朝と深夜は警察の幹部の家の前で待って、情報を聞くという、俗に言う“夜討ち朝駆け”もしていました。

Q:それで現場からリポートして、みたいな感じですか?

A:リポートもしますけど、リポートがなくても1日に何ヶ所も取材に行って、自分で原稿を書くんです。98パーセントが記者の仕事で、残りの2パーセントがアナウンサーの仕事という感じですかね。だから、5月くらいに“初鳴き”というアナウンサーデビューをしているんですけど、アナウンサーの仕事はドラマの後にある3分間ぐらいのニュースがあるじゃないですか。あれぐらいなんですよ。それも「今日の昼に自分で行ってきました」みたいな原稿を読んだりとか。ただ、テレビ朝日系列だったので、夏になると高校野球の実況があって、1年目から喋らせてもらいました。1回戦から全試合を中継していたので、10試合ぐらい喋らせてもらって。スポーツ実況はその時期の高校野球だけですかね。あとはサッカーだと中学の高円宮杯県大会の決勝です。僕が生まれて初めて喋ったサッカーの試合に出ていたのが渡邉千真選手(神戸)で、解説が小嶺監督(小嶺忠敏・長崎総科大附属高校監督)です(笑)

Q:それは凄い!

A:デビュー戦の解説が小嶺さんだったんです。インタビュアーとしてのデビューは、それこそお兄さんの渡邉大剛選手(讃岐)とか兵藤慎剛選手(札幌)の代なんですよ。ピッチリポーターみたいな形で。ただ、元々取材はしていたので大久保嘉人選手(FC東京)の選手権優勝の時も、国立競技場のゴール裏でインタビューをしました。余談ですけど、その時に『スーパーサッカー』に出始めた頃の白石美帆さんがいらっしゃって、「ああ、世の中にこんなかわいい人がいるんだ!」と衝撃を受けたのは覚えています。(笑)

Q:それでも当時の仕事は、思い描いていたアナウンサーの仕事とはだいぶ違いますよね。

A:思い描いていたものとは全然違いましたけど、長崎に行く前に“平成新局”という平成になってからできたテレビ朝日系列の局は「ほぼ記者の仕事からだよ」というのは聞いていたので、僕は一応理解して行ったんです。ただ、知らないで来た人だったら「え?アナウンサーの仕事じゃないよね…」という感じだったかもしれないです。でも、僕はそれが今に生きているというか、テレビの映像を編集する勉強にもなりましたし、画をどういう風に繋いでいくかとか、そういうことも含めてですよね。サッカーや野球の原稿も書くので、どういう風に書けばゲームを1分でまとめられるかとか、そういう勉強にはなったと思うんです。アナウンサーでは経験できないこともたくさんあって、当時僕は小泉(純一郎)首相のインタビューもしていますし、海苔の不作で諫早湾干拓問題が話題になった時に、農水省を取材するための東京出張も多くて、ニュースステーションも取り上げてくれていたので、そういうスタッフの方々と国の施策の問題点について色々と取材したりできましたし、あとは北朝鮮にも行けましたしね。

Q:僕はその北朝鮮に行ったお話を聞きたいと思っていました。2002年に行かれたんですよね?

A:そうです。日韓でワールドカップをやっている時ですよ。だから、僕はあのワールドカップのグループステージを生で見ていないんです(笑) 電話で日本の結果を聞いたんですから(笑)

Q:どういう状況で北朝鮮へ行くことになったんですか?

A:時期的には拉致問題が明るみに出る直前だったんです。それで当時の朝鮮総連の長崎のトップの人が、里帰りを年に1回みんなでするということで、現地に問い合わせたら、そこに「メディアも連れてきていい」と。「北朝鮮のことはあまり知られていないので、是非紹介してもらいたい」と。そこには議員の方々も絡んでいて、長崎県議会の超党派で北朝鮮との親睦を深める会を結成して、それで現地に行くのに「1社1名ずつ同行していいですよ」という形になったんです。僕は市政担当だったんですけど、たまたま県政担当のトップの人が新婚旅行でヨーロッパに行きたいと。ただ、パスポートに北朝鮮のスタンプを押されると入国しづらくなるから、行きたくないと言い出したんですよ(笑) 僕は何でもやるタイプだったので、当時の部長が「明弘がいいんじゃないか?」と言ってくれて、一生に一度行けるかいけないかの国なので、「僕、行きたいです」と。それでカメラマン兼レポーター兼記者として、1人でデジカムを持って行くことになったんです。

Q:確かに人生で1回も行けない人の方が多い国ですよね。

A:そうですよね。ビザが日本で取れないので、一泊した北京の北朝鮮大使館でビザを取って、平壌に入ったんです。結局団体のビザだったのでパスポートにスタンプは押されませんでした(笑)

Q:実際の北朝鮮はいかがでしたか?

A:「きっと戦前の日本ってこうだったんだろうな」というイメージです。北朝鮮の皆さんは、話す内容や思想がすべて一緒だなあと感じました。あと、僕は国立競技場みたいな所で、10万人のマスゲームを見る機会があったんです。バックスタンド側はパネルみたいなものをパッ、パッと変えていくと、大きな絵がどんどん変わっていくんですよ。ピッチでは一糸乱れぬ踊りを披露していて、「これは強烈だな」という感じでしたね。テレビも内容は“モチベーションビデオ”みたいな感じで、アナウンサーの方が独特の抑揚で喋っていて。それで携帯やパソコンは違う所に預けていたので、電話する時も後ろに監視する人が付いている中で電話するんですけど、その固定電話で「日本勝った?勝った!やった!」みたいな(笑) そんな感じでしたね。

Q:それを20代で経験できるというのは、相当貴重な経験ですよね。

A:そうですね。だから、普通は入社3ヶ月で実況なんてできないですけど、ウチは人がそこまでいなかったので、入社3ヶ月でいきなり高校野球を10試合も実況させてもらえましたし、それこそ入社してから3日間ぐらい各部署を研修で回るじゃないですか。それで報道制作部に配属になって、「今日は取材があるから先輩に付いて行け」と言われて、付いて行った次の日には「もう1人で行ってきて」でしたから(笑) 「え?どうするんですか?」と。それぐらい何でもやらせてもらえる感じだったので、新しいことをやるというよりは、こなすことで数年間は毎日必死でしたけど、その代わりに色々なことがどんどん身に付いていきました。逆に若い内にしかできないようなことでしたし、今も「忙しいね」って言われるんですけど、あの時があまりにも忙しかったので、当時に比べたら全然大変じゃないと言えるぐらいの感じですよね。朝6時に出社して、夜の10時か11時まで仕事をして、毎日先輩たちと飲みに行っていたんです。朝の2時か3時まで毎日飲んで、僕は朝6時に警察へ行かなくてはいけないので、毎日がその生活という日々を半年続けたら8キロぐらい痩せました。

Q:それはなかなかですね。

A:でも、その経験が生きたこともたくさんあって、先ほど話した『山本勉強会』が先輩との連絡を重視する会で、ウチの石原(敬士・フットメディア)ともそこで知り合ったんですけど、地方局の先輩アナウンサーに「今回最終まで残りました」「受かりました」「ダメでした」という報告を毎回していましたし、先輩へのお酒の注ぎ方も学んでいたこともあってか、「オマエ、ちゃんとしてるな」みたいに言ってもらえましたね。それもあって、先輩方に気に入ってもらえたり、かわいがってもらえたりしましたし、色々な所に連れて行ってもらえたりしたので、それは良かったですね。やっぱり先輩も忙しいので、なかなか本音は言ってもらえないじゃないですか。でも、飲みに行った時に「あそこはこうした方がいいんじゃないか?」とか「あれは良かったよ」とか、そういうことを本音で言ってくれるんですよね。それも最後までお酒に付き合ったから教えてもらえる感じで。だから、毎日最後まで付いていきました。ちなみに、1年目は一銭も払っていないです。全部おごってもらっていました。

Q:先輩の方々に恵まれたんですね。

A:はい。新人の頃っていきなり「取材に行け」と言われても、1人で行く訳ではなくて、カメラマンと行く訳ですよ。だから、カメラマンの方々に色々教えていただいた感じもあります。それで最初は「はい… はい…」と言われるがままに動いていたのが、少しずつ意見を言えるようになって、4年ぐらい経ったら「僕はこう思います」と言えるようになりました。他の局だったらもうちょっと時間が掛かったかもしれないですけど、そこは結構短期間でしたね。ウチの局を出た方々は色々な方面で活躍されているんですよ。「鍛えられるんだなあ」って。精神的にも(笑)

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