J SPORTSのコース紹介にもあるように、プロローグや悪天候による短縮を入れなければ、今日のような100km以下の山岳ステージが行われたのは、1989年に遡るらしい。。。
ということで、ヴィラージュでのオヤツ探しは早々にあきらめ、スタート前のチームバス村を巡ってみた。
80年代にレースをしていた、レースにかかわっていた、あるいはレースを観戦していた関係者は現地にけっこういるが、どこかでVIPの案内をしていたり、マッサージ中だったり、出張でツールを離れていたり、と、なかなかつかまらない。見つけたはいいが、そういうのがあったのは覚えているけど、どんなだったかなあ・・・とたよりない答えが返ってきたりもする。

「ちょうどさっきそんな話をしていたんだ」

ディメンション・データのロルフ・アルダーグ監督の印象に残る短い山岳ステージは、ビャルヌ・リースが優勝したセストリエールへの46kmのステージだそう。
「ただし、あれは悪天候で短縮されたステージだったんだけどね」
(※ 1996年ツールの第9ステージで、イズラン峠への降雪でコース変更となった)
「ただただ上るだけだったから、ある意味単純なレースではあったんだ。今日のステージのように山岳が3つも4つも続くとなると、また違ってくるから」
「山頂から27km下ってくることを考えると、今日は、なかなか逃げ切りは難しいだろうな。チームから誰かが逃げに入れれば面白いけれど、うち向きのステージではないし、どちらかというと、チームスカイが誰かを前に出すかどうかに興味がある」

そのいくつか先にチームバスが停まっていたロット・ソウダルでは、ヘルマン・フリソン監督が、バゲットのサンドイッチをかじりながら、思い出話をしてくれた。
「80年代のツール? 80年代から90年代にかけて、ちょうど現役時代だよ。87年に最初のツールを走ったんだ」
「100kmを超えないような短いステージのことも、もちろん覚えてるさ。あの頃は、午前中に70km走って、午後に100km走って、なんてことをやっていた」
もともとは山岳ステージについて聞きたかったこともあり、朝に山、夜に山かと一瞬思いかけたが、さすがにそれはない。その時代のツールでは、平坦ステージのダブルヘッダーが時折行われていたのだ。

「朝にここからここまで走って、午後にまたそこから別のところまで、なんてことをやっていたんだね、あの時代は。疲れたなんて文句を言うやつもいなかった。チームバスなんてなくて、こんなの(と、チームカーのボンネットを手のひらでポンポンする)3台くらいで動いていた。シャワーなんて気の利いたものはなくて、タオルで体を拭くだけ。チームのスタッフも数えるほどで、とてもシンプルだったんだ。今からは想像がつかないね」

「戦略がどうこう、どうこう言ってるけど、そんなのもなかった。あの頃のプロトンにはビッグなパトロン(ラテン語に由来し、もともとは、『父のような保護者』を意味する)がいた。我々の時代はベルナール・イノーさ。イノーが言うんだ。『最初の山はみんな一緒でな、残りの二つはフルエンジンでOKだ!』 イノーがそう言ったら、その通りにするしかなかった。でも、言うことを聞かないで、最初の山で逃げようとしたやつがいてね。イノーは全力で追って行って、首根っこをつかむ勢いで怒鳴りつけて、引き戻していた」
食べかけのバゲットサンドイッチは宙に止まったまま、誰ともなしにゆっくり頭を振った。

「あの頃のレースは楽しかったね」

1987年のツール、ドイツで行われたダブル・ステージの日に、フリソンは自身唯一のツールステージ優勝を挙げている。ちなみに、この日、もう片方のステージで優勝したのは、同じロット・ソウダルで日々一緒に働く、マーク・サージャントGMだ。フリソンにとって、振り返って一番鮮やかに思い出すのは、このときのツールなのかもしれない。

フリソンは我に返り、再びバゲットを頬張りながら、今日のステージについて言葉を続けた。 「今日は、最初から大変な騒ぎになるだろうね。最初の13KMで中間スプリントがあるから、スタート直後から、(マイケル・)マシューズたちが動き出すだろう。そこからは、もうどうなるかわからないね。総合狙いのチームの動き次第だ。うちからは、(ティム・)ウェレンスか(ティッシュ・)ビノートか(トニー・)ギャロパンに逃げに入ってほしいけれど・・・」

そこで、くすりと笑った。

「そういえば、ティムもティッシュも、まだ生まれてもいなかったんだな。辛うじてトニーは80年代生まれだけれど!」

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寺尾 真紀
東京生まれ。オックスフォード大学クライストチャーチ・カレッジ卒業。実験心理学専攻。デンマーク大使館在籍中、2010年春のティレーノ・アドリアティコからロードレースの取材をスタートした。ツールはこれまで5回取材を行っている。UCI選手代理人資格保持。趣味は読書。Twitter @makiterao

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